私たちの臨床食管理学分野は、徳島大学大学院医歯薬学研究部および徳島大学医学部医科栄養学科を構成する研究室の1つです。2014年4月に、徳島大学医学部栄養学科が医科栄養学科に改組されるに伴い、臨床栄養学分野から臨床食管理学分野に名称が変わりました。
学部教育では、臨床栄養学を主に担当し、大学院教育では、主にがんプロフェッショナル養成プログラムの臨床腫瘍栄養学コースの教育を担当しています。
研究室では、常に"From Bench to Bedside"を念頭に、分子生物学・細胞生物学を駆使した栄養素の消化・吸収の分子メカニズムの解明と動物モデルを用いた個体レベルでの栄養素の代謝調節ならびに機能性食品成分の生理作用の解明、ボランティアを用いたヒトにおける栄養素代謝調節ならびに機能性食品成分の臨床評価、さらには実際の患者様を通じて肝硬変患者や生体肝移植患者の栄養管理に関する研究などを行っています。エネルギー密度の概念を取り入れたメニューや栄養管理プログラムを開発し、企業と提携して商品化も進めています。
生活習慣病の栄養学的予防法や治療法を開発するにあたって、これまでは、単一の栄養素に注目された研究が行われてきました。本研究室では、そのような研究 に加えて、複数の栄養素の組み合わせの結果としての食事の生体への作用を理解し、食事として治療・予防における効果を示すことで、より実臨床に直結した研究成果を目指しています。
研究の対象となるテーマは、骨・ミネラル代謝と骨粗鬆症、糖・脂質代謝と肥満・糖尿病、血管内皮機能と動脈硬化、肝疾患などであり、いずれも食生活が発症に大きく関わる生活習慣病をターゲットとしています。これらの疾患の予防・治療の進歩に、我々の研究成果が役に立ち、多くの方の健康増進に少しでも貢献できればと考えて日々取り組んでいます。
また、徳島大学病院でのNST活動や生活習慣病教室などにも取り組んでいます。臨床現場で管理栄養士として活躍するためには、患者の病態・問題点を深く分析し、エビデンスに基づいた栄養管理法を適切に選択していくことが求められます。適切な分析手法と論文に基づくエビデンスから合理的に病態や問題点を分析していく研究的な思考法(リサーチマインド)を、卒業研究や大学院での研究を通じて学んでいただきたいと思います。
臨床食管理学分野では、将来臨床栄養学の分野で活躍したいという意欲のある学部生・大学院生を広く募集しております。一緒に、リサーチマインドを持った管理栄養士、Dietitian Scientistを目指しましょう。
臨床食管理学分野 教授 竹谷 豊